2017年04月28日

レジェンド葛西紀明選手、札幌市長にフライングヒル設置を直訴。

4月5日のスキージャンプ葛西紀明選手の札幌市長への表敬訪問で、ラージヒルよりもさらに大きいフライングヒル設置を直訴する一幕があった。ヒルサイズがノーマルヒルの倍以上になる185メートル超のモンスタージャンプ台で、男子のスキージャンプ競技の花形になりつつあるが、ヨーロッパに4台しか設置されていない。葛西選手は、世界で五台目のフライングヒルを札幌に設置してほしいと直訴したわけだ。フライングヒルはプロジャンパーでさえ恐怖を覚える巨大さの為、挑戦する選手を選ぶ競技だ。ヨーロッパでは興行的にも大人気だが、参加選手が限られ、頻繁に開催できるものではなく、何十億、下手したら百億超の建設コストに見合わないとする向きがある。ただ、冬季オリンピック誘致を目指す上では、メリットがある。フライングヒルはオリンピック公式競技では無いが、公開競技としてでも、十分に目玉になる。また、単純に興行面以外に日本人選手のレベルアップに繋がるともされる。ラージヒルよりも、フライングヒルは飛行時間が長くなる為、空中での技術がブラッシュアップされるのだという。そういう意味では、ジャンプ競技のナショナルトレーニングセンターとして指定されているラージヒルの大倉山ジャンプ競技場、ノーマルヒルの宮の森ジャンプ競技場を持つ札幌市にとって、フライングヒル設置は重要な意味がある。



では、場所はどこが良いか。順当に行けば、大倉山のラージヒルに併設が考えられる。ただ、現時点でも横風の問題があり、大倉山でのフライングヒルはラージヒル以上に風の問題が出てくるという指摘もある。また、既に観光施設として大倉山は整備されているので、ジャンプ台増設のスペース的な問題もあるだろう。ノーマルヒルの宮の森併設でも似たような問題が出てくるかもしれない。であれば、いっそのこと山頂でなく中腹など風の問題が少ない位置に作ろうという発想も出てくる。藻岩山や手稲山等だろうか。いずれにせよ、様々な困難がありそうだ。

やっぱり厳しいのかと考えてしまうが、将来を考えると無駄遣いと切り捨ててしまうには惜しい。まず、アジア全体でのウインタースポーツ熱の高まりだ。来年の韓国平昌冬季五輪や中国北京冬季五輪が続く。日本はアルペン競技では一流ではなくても、ジャンプを含むノルディック系の競技は一流であるし、その核になる施設がジャンプ台だ。北海道は至るところに中小のジャンプ台があり、その頂点として大倉山や宮の森がある。そこに、フライングヒルが加われば、アジアのウインタースポーツの首都の座を確固たるものとする事ができる。ウィンタースポーツで一流を目指すアスリートはアルペン競技ならイタリア、ノルディック系ならノルウェーやフィンランドへ留学するかもしれないが、雪のある韓国・中国だけでなく、雪の降らないアジア諸国の人達が冬季オリンピック等を目指す拠点として、北海道は最適だろう。北海道はアジアから観光客が多いので、母国からのツアー客ガイド等で生計を立てる事もできる。そういう長期的視野で考えると悪くは無いし、先ほど言ったように日本人ジャンパーの競技レベルを支える上でも重要だ。世界最大の閲覧数を誇るアメリカの旅行サイト「トリップアドバイザー」でも、日本の行きたい観光地として、東京・京都に次ぐ、第3位に倶知安町がランクインして関係者を驚かせている。大体、北海道以外の日本人でも倶知安町がわかる人自体少ない。ニセコの中心地だよと言って、やっとわかる程度だ。逆に言えば、ウィンタースポーツの関連する施設・場所が、世界レベルで見てどれだけ価値があるかがうかがえる話だ。野球のドーム球場のネーミングライトに年間何億もの価値があるというが、ヨーロッパ以外初のフライングヒルにはそれ以上の価値があるかもしれない。施設運営権や商業施設を併設すれば、資金回収も楽になる。
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2014年12月03日

冬季オリンピック存亡の危機の時代に、あえて立候補する札幌市。

 札幌市が2026年冬季オリンピックに名乗りを上げた。そして、2022年の冬季オリンピック誘致活動は、立候補三都市から本命視されていたオスロが辞退し、2018年韓国と同じアジアの中国北京、カザフスタンが残り、二大会連続のアジア開催が確定した。ここで、札幌が立候補するのは如何にもタイミングが悪いと思われるが、そもそも、冬季オリンピックは欧州と北米の持ち回りであり、偏りはやむを得ない。2026年に欧米の都市が立候補したら札幌は厳しいと考えられている。ただ、カザフスタンならアジア所属とはいえ、欧州と東アジアの中間点でもあり、札幌にとってはマイナスにならないとも考えられる。ただし、中国北京になったら地域バランス的にも難しい。2030年さえも難しくなると思われる。ただし、札幌にもチャンスがあるのは皮肉なことに、巨額投資をともなう冬季オリンピックに欧米都市が躊躇する傾向にあり、立候補を考える考える都市があったとしても、既に一度開催している都市が二回目の立候補を考える傾向にあるという事だ。逆に言えば、夏季とは違い、冬季オリンピックに向けられる視点が世界的に冷めているのだ。オスロを中心とする欧州勢の撤退などはその顕著な例だし、韓国平昌の大会準備の遅延混乱もその象徴だ。

 結論から言えば、札幌が二度目のオリンピック招致に乗り出す意味はあると思う。現在、アジア諸国を中心に北海道への興味が高まっている。このタイミングで札幌オリンピックの冬季開催が決まれば、世界的な北海道観光への求心力が強まる。逆に言えば、現在の海外からの観光熱の高まりが無ければ、他の欧米の国家と同じで、この手のイベントは時代遅れでやる必要は無いだろう。札幌は日本有数な観光地であるが、知名度ほど何か魅力のある都市かと言われればさほどでもないだろう。つまり、常に「物語」を付加し続けていかなければ、札幌の観光ブランドを維持する事はできないのだ。今後、50年観光と北海道が食っていこうと思うなら、決して悪くは無い投資なのだ。

 もう一点ポイントになるのは、冬季オリンピック自体への懐疑的な眼差しである。冬季競技は必然的に参加国が限られてしまう上、立候補都市が一巡したという事も盛り下がりの要因である。招致成功のハードルよりも、イベント成功のハードルの方が高くなっている。となると、氷雪利用競技に加えて、氷雪を必要としない室内競技の誘致が不可欠となってくる。以前から、夏季競技では数が多すぎて埋没してしまい注目を浴びないと考える競技団体が存在しており、バスケットボールなどは冬季五輪へ移籍した方がメリットが大きいのではないかとの議論が燻っている。また、危うく夏季五輪競技から外されそうになったレスリングも、最悪の場合は冬季五輪での存続も視野に入れていたと言われる。また、全くの新競技でもフットサルのような人気室内競技や総合格闘技は目玉競技になりうる。新種目の公開競技としての実施はIOCが競技の絞込みを図っている事もあり難しかったが、今回の冬季五輪誘致に名乗りを上げていた欧州都市の一斉撤退はIOCに衝撃を与えたに違いない。冬季に関しては誘致都市でのコスト負担軽減も考慮する必要が浮上しており、人気があって既存施設を利用できる非氷雪系室内競技の新規組み込みもポイントになるだろう。札幌も立候補する上で、夏季からの移籍は無いにしても、有望な新競技の誘致も考えた方が良いだろう。危機感を持っているIOCは今後、その手の新競技の冬季開催に関してはハードルを下げるだろう。
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2014年10月01日

札幌オリンピック二度目の誘致の意義とは?

 札幌市が2026年札幌オリンピック誘致を前提に試算を公開した。既存のインフラを利用し、4000億円の投資で、経済効果は7700億円と見られるとの事だ。東京オリンピック招致が決定する前までは、札幌の財界や自民党系を中心に、夏季オリンピックの誘致を北海道経済の起爆剤としたいという動きがあったが、正直、荒唐無稽と言わざるを得なかった。しかし、冬季オリンピックは降雪地に限定される為、誘致ハードルは極端に下がる。むしろ、夏季と違って、冬季五輪の継続を危ぶむ声があるぐらいなので、腰を据えてやれば、26年は逃しても、いずれかのタイミングで招致は可能になるだろう。冬季の誘致は、夏季のようなプレゼンテーション合戦と言うよりも、招致後の採算とか、インフラの恒久的利用の目論見とかの方が重要のようだ。

 日中戦争の影響で開催を返上した1940年の幻の東京オリンピックは有名だが、同年冬開催予定だった札幌オリンピックも幻になった事は意外と知られていない。その後、東京オリンピックが開催された1964年の8年後に札幌オリンピックが開催された。幻となったオリンピックを現実化する事は、高度経済成長期の日本の宿題であった。さて、札幌オリンピックは札幌に何をもたらしただろうか。一番、大きいのは札幌の知名度アップだ。国内的にも旅行レジャーブームによる北海道旅行ブームとリンクしたし、欧米でもオリンピックのお陰で、「札幌?何となく聞いたことがある町の名前だね。」という人が、特にウィンタースポーツが盛んなドイツや北欧諸国には少なくない。こちらはスキージャンプのワールドカップの毎年の開催地として定着していることも大きいが、これもオリンピックの成功なしにはありえなかった。知名度と言えば、近年、爆発的に増えたアジアからの観光客への浸透も二度目のオリンピック誘致で期待できる。そういえば、中国事業から撤退したサッポロビールであるが、現地では「三宝楽」という音が、サッポロに近い漢字を当てていたそうだ。だが、2014年現在のタイミングで中国進出用のネーミングを考えれば、「札幌」ビールを選択したかもしれない。そのぐらいアジアでの認知度が上がった。オリンピック招致は、札幌の知名度をアジア全域で確立する可能性がある。

 次に大きかったのは、札幌地下鉄だ。一般的に、オリンピックによるレガシーはその多人数収容の施設であったり、元選手村の公営団地が上げれれるが、札幌は交通インフラの地下鉄が大きい。世界一過密な豪雪地帯都市札幌にとって、冬期間でも定時制を保てる地下鉄は発展の背骨となった。実際、JR北海道が札幌駅周辺を再開発するまで、地下鉄の要衝である大通駅地区に対して、札幌駅周辺は劣勢であった。また、交通機関の話で言えば、札幌はタクシーが多い街と言われる。これも札幌オリンピック対応で、タクシーの枠を通産省が増やした事の余波が40年経っても続いているという事らしい。さて、2026年冬季五輪招致との関連が言われるというか、裏テーマであるのが北海道新幹線札幌延伸の前倒しだ。さすがにタイミング的に2026年に仮に札幌が五輪招致に成功しても、あと12年では完成は難しいだろうが、2030年あたりなら可能だろう。札幌市も2018年韓国平昌、2022年ヨーロッパ、2026年北米かアジアで、もし、2026年が北米になった場合は、2030年がアジア有力となり、北京と札幌の一騎打ちの構図になる事を見越しているだろう。北京に関しては政情不安定な上、環境問題もあり、札幌には十分な勝機がある。予算の関係で現時点では口が裂けても言えないだろうが、2026年及び2030年冬季五輪に対する招致活動になるだろう。

 2026年の札幌オリンピックの招致活動の意義は意外とあると思われる。1972年の札幌オリンピックは、北海道における札幌の集権体制を確立し(「都心」という言葉は、一般的に東京都心を指すが、北海道においては、札幌の中心地を指すことがある。地方都市の中心地に「都心」を用いるのは札幌ぐらいだ。)、インフラの整備や国内向けの観光地としての地位を固める要因となった。しかし、2026年の札幌オリンピックは、より国外向けのオリンピックとなり、アジアのスノーリゾート、職住一致都市ならぬ、雪住一致都市札幌をアピールできる、よりオリンピックの理念に近い開かれたオリンピックになるだろう。韓国の平昌は、まさにアジアのスノーリゾート定着を理念に五輪招致を実現したが、残念ながら降雪量は不足とは言わないが、ムラが大きすぎるし、韓国中央政府の資金不足により施設建設が大幅に遅れ、仁川国際空港と平昌間の高速鉄道構想は事実上頓挫するなど、天候・ハード面での不備が露になった。その点、札幌や北海道は安定している。(というか、毎年莫大な除雪予算に泣かされている。)そもそも、ジャンプ台が190万都市を見下ろすなんて立地は有り得ない。こんな雪住一致都市は、札幌だけだ。それに、2000年以降ニセコ地区が国際スノーリゾートとして定着している。今回のオリンピック誘致でも、一部競技をニセコ・富良野等へ分担できないか検討している。シナジー効果も期待できるだろう。


 なお、当ブログのオリンピック関連投稿をまとめたカテゴリを作ったので、興味のある方はどうぞ。

 
posted by 瀕死の北海道経済への処方箋ブログ at 11:17| 札幌オリンピック等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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