http://hokkaido-shohousen.seesaa.net/article/388917235.html
2015年のデータだが、充足できない定員割れ、しかも、1割以上も定員割れしている大学が北海道の全私大の半分を占めている。その為、各大学では経営刷新や移転、学部の見直し等が行われている。ちなみにプラスになっている大学もあるが、定員以上の学生を抱えすぎると都市部と地方部の学生数不均衡の要因となるので、助成金カットの対象にもなる。
北海道私立大学の定員過不足状況 2015年
苫小牧駒澤大学[苫小牧](−68.7%)→経営譲渡
稚内北星学園大学[稚内](−43.6%)
札幌国際大学[札幌](−38.2%)
道都大学[北広島](−37.0%)→経営刷新
函館大学[函館](−31.6%)
札幌学院大学[江別](−30.6%)→新札幌へ進出検討
札幌大学[札幌](−26.6%)
千歳科学技術大学[千歳](−25.2%)→公立化検討
札幌大谷大学[札幌](−22.2%)
旭川大学[旭川](−12.8%)→公立化検討
北海道情報大学[江別](−12.3%)
北翔大学[江別](−10.1%)
日本医療大学[札幌 恵庭](−7.5%)
北海道科学大学[札幌](−3.0%)
北海道薬科大学[札幌](+1.7%)→北海道科学大学に統合
北海道医療大学[当別](+2.5%)
札幌保健医療大学[札幌](+3.7)
天使大学[札幌](+6.6%)
北星学園大学[札幌](+6.7%)
北海商科大学[札幌](+8.7%)
北海道文教大学[恵庭](+8.9%)
日本赤十字北海道看護大学[北見](+10.3%)
藤女子大学[札幌 石狩](+14.1%)
北海学園大学[札幌](+15.7%)
酪農学園大学[江別](+16.3%)
私立大学の旭川大学が、少子化による経営難を見越しての公立大学化を旭川市に提案。西川市長も基本的に前向きに検討しているが、大学部とその他の高校等の学校を分離する必要もあり、交渉が難航しているそうだ。また、地元財界も東海大学の芸術工学部の旭川撤退の埋め合わせとしても、公立大学方式のものづくり学部が必要という声も強く、旭川大学公立化に期待をかけている。旭川市も大学が無くなることが北海商科大の抜けた北見や、北海道薬科大学の抜けた小樽のように地元に大きなダメージになる事を十分に承知しているので、破談にはさせないだろう。また、旭川大学側も公立化で私学よりも助成の条件が良くなる事や、公立ブランドによる学生からの人気アップも期待している。少なくとも、生き残りにかけて積極的にアクションを起こしている事は確かだ。旭川市も今年中に結論を出し、方向性を示すようだ。私立大学の公立化は、千歳科学技術大学でも検討されている。旭川大学の公立化の動きが、地方の私学公立化の呼び水になる可能性がある。大学全入時代の地方大学は、偏差値や受験勉強自体が意味をなさなくなる。では、どうやって教育機関としてのレベルを維持できるのだろうか。ヒントはアメリカのコミュニティカレッジだ。これらは主に州立の2年制大学で高校卒業したての学生だけでなく、社会人やリタイヤした人まで幅広く門戸を開いている。仕事を持った人も受講できるように週末や夜間の講義も行われる。地域が大学を若者を繋ぎとめておく装置としてだけ、考えているなら早晩限界がやってくる。しかし、地域にとって重要な学びの場を提供するものが大学であると再定義し、若者にとっては就職のステップに、社会人にとっては学び直しの場というような役割を兼ねる事ができれば、価値ある存在になる。また、社会人が講義に通えるようにするには、地域企業の理解も必要だ。
最近では、札幌学院大も大きなアクションを起こした。新札幌駅周辺の再開発地区に参入し、拠点を持つ事にしたという。新札幌駅なら江別ともJRでスムーズに移動できるので、札幌市内の橋頭堡として最適だが、現段階では、詳細は不明だ。ただ、札幌学院大は定員割れの規模が大きく、このままでは将来が無いと決断したと思われるので、かなり多くの機能を新札幌に移すのではなかろうか。移転と言えば、北海道科学大が同じ北海道尚志学園系列の北海道薬科大学を小樽桂岡地区から手稲前田に移転させ、さらに来年度をめどに統合する手を打っている。北海道科学大学は北海道工業大学として馴染みがあったが、保険医療学部を新設する事で女子学生の構成比も上がり、虎の子の薬科大学の統合でさらに男女比がバランスする。しかも、手稲前田はファミレスやら、ドンキホーテやら若者向けの商業施設に事欠かないので、学生獲得に大きくプラスとなる。北海道科学大学が小さな定員割れで踏みとどまっている中、薬科大学統合で反転攻勢をかけるというのは、かなりの妙手だったと感心する。
さて、データをみるとやはり、北海学園と北星学園は安定している。ちなみに稚内北星学園は北星学園が立ち上げには協力したものの経営にはタッチしていない。厳しい経営状態が続けば、稚内市による公立化の可能性も検討されるだろう。さて、北星学園だが元朝日新聞記者の問題でかき乱されたが、悪影響は少なく私大では北海学園に次ぐ人気と言われる。しかし、北星余市高校の閉校騒動など資金面の苦しさが表面化している。また、北星学園大学の隣接地にモルモン教の札幌神殿が建設されてしまった。日本のプロテスタント教会はカソリックのように総本山バチカンを頂くような統一された組織ではないが、モルモン教やエホバの証人、韓国の統一教会などの異端キリスト系宗教には対抗して結束している。そんなプロテスタント系有力大学の北星学園大学の隣接地にやすやすとモルモン神殿を建てられてしまったのだから大失態だ。北星学園も衰えたなと感じる。資金力があれば、全力で隣接地のモルモン神殿建設を阻止したはずだ。
一方、盤石に見えるのは北海学園だ。しかし、その北海学園もロースクール撤退に追い込まれた。法科大学院に関しては、明らかに法務省の制度設計に問題があったので、北海学園の問題では無いが大学経営の方針転換を迫られる事になるだろう。ロースクールを持つ数少ない私学という形でのアピールはできなくなったわけだから。道内私大として北海学園大学は強いが、全国的知名度は極めて低い。むしろ、大学名に「札幌」が入る他大学の方が道外出身者の構成比が高い。道内学生のみを相手にしていれば、さすがにジリ貧になってくるかもしれない。今、北広島では日ハム誘致の為の請願駅が話題になっているが、最近、北海道で最も成功した請願駅は、北海学園による地下鉄東豊線「学園前」駅だろう。東豊線のような深い路線の請願駅なので莫大なコストがかかり、公立大学並みだった北海学園の授業料が一気に跳ね上がった事もあり経営への影響を懸念する声さえあったが、今となっては、学生や教員集めの原動力になっており、北海学園のセカンドブランドである北海商科大学も伸びている。北海学園や北星学園は私学再編の中心になるというが、利便性の高い地下鉄駅周辺に施設を集中させている両大学がわざわざ立地で苦戦する他大学に関心を示すかというと疑問だ。北海学園は北海商科を北見から引き上げたぐらいなのに。ただ、北海学園は面積が狭く、工学部も山鼻にあって少し遠い上、スポーツサークルのグランドを清田に確保するぐらい用地に余裕がない。その為、近くの市内に比較的広大なスペースを持っている札幌大学や札幌国際大学と統合するならメリットがあるかもしれない。そこに北海学園札幌高校や工学部、運動部グランドを移転させ、逆に文系学部を豊平に持っていくと、北海道の大学らしい広々とした環境を手に入れ、道外学生の確保にもプラスになる。そんなわけで、札幌大学は自主路線を確保した生き残りの為には、内輪揉めしている場合では無いと思うのだが。

