2017年05月24日

混迷を深める北海道の私立大学再編。攻めの姿勢を見せる大学と身動きの取れない大学の二極化へ。

以前、北海道の私大関連で以下のようなエントリを上げた事があるのだが、当然の事ながら、私大を取り巻く経営環境は悪化している。

http://hokkaido-shohousen.seesaa.net/article/388917235.html  

2015年のデータだが、充足できない定員割れ、しかも、1割以上も定員割れしている大学が北海道の全私大の半分を占めている。その為、各大学では経営刷新や移転、学部の見直し等が行われている。ちなみにプラスになっている大学もあるが、定員以上の学生を抱えすぎると都市部と地方部の学生数不均衡の要因となるので、助成金カットの対象にもなる。

北海道私立大学の定員過不足状況 2015年

苫小牧駒澤大学[苫小牧](−68.7%)→経営譲渡
稚内北星学園大学[稚内](−43.6%)
札幌国際大学[札幌](−38.2%)
道都大学[北広島](−37.0%)→経営刷新
函館大学[函館](−31.6%)
札幌学院大学[江別](−30.6%)→新札幌へ進出検討
札幌大学[札幌](−26.6%)
千歳科学技術大学[千歳](−25.2%)→公立化検討
札幌大谷大学[札幌](−22.2%)
旭川大学[旭川](−12.8%)→公立化検討
北海道情報大学[江別](−12.3%)
北翔大学[江別](−10.1%)
日本医療大学[札幌 恵庭](−7.5%)
北海道科学大学[札幌](−3.0%)
北海道薬科大学[札幌](+1.7%)→北海道科学大学に統合
北海道医療大学[当別](+2.5%)
札幌保健医療大学[札幌](+3.7)
天使大学[札幌](+6.6%)
北星学園大学[札幌](+6.7%)
北海商科大学[札幌](+8.7%)
北海道文教大学[恵庭](+8.9%)
日本赤十字北海道看護大学[北見](+10.3%)
藤女子大学[札幌 石狩](+14.1%)
北海学園大学[札幌](+15.7%)
酪農学園大学[江別](+16.3%)


私立大学の旭川大学が、少子化による経営難を見越しての公立大学化を旭川市に提案。西川市長も基本的に前向きに検討しているが、大学部とその他の高校等の学校を分離する必要もあり、交渉が難航しているそうだ。また、地元財界も東海大学の芸術工学部の旭川撤退の埋め合わせとしても、公立大学方式のものづくり学部が必要という声も強く、旭川大学公立化に期待をかけている。旭川市も大学が無くなることが北海商科大の抜けた北見や、北海道薬科大学の抜けた小樽のように地元に大きなダメージになる事を十分に承知しているので、破談にはさせないだろう。また、旭川大学側も公立化で私学よりも助成の条件が良くなる事や、公立ブランドによる学生からの人気アップも期待している。少なくとも、生き残りにかけて積極的にアクションを起こしている事は確かだ。旭川市も今年中に結論を出し、方向性を示すようだ。私立大学の公立化は、千歳科学技術大学でも検討されている。旭川大学の公立化の動きが、地方の私学公立化の呼び水になる可能性がある。大学全入時代の地方大学は、偏差値や受験勉強自体が意味をなさなくなる。では、どうやって教育機関としてのレベルを維持できるのだろうか。ヒントはアメリカのコミュニティカレッジだ。これらは主に州立の2年制大学で高校卒業したての学生だけでなく、社会人やリタイヤした人まで幅広く門戸を開いている。仕事を持った人も受講できるように週末や夜間の講義も行われる。地域が大学を若者を繋ぎとめておく装置としてだけ、考えているなら早晩限界がやってくる。しかし、地域にとって重要な学びの場を提供するものが大学であると再定義し、若者にとっては就職のステップに、社会人にとっては学び直しの場というような役割を兼ねる事ができれば、価値ある存在になる。また、社会人が講義に通えるようにするには、地域企業の理解も必要だ。

最近では、札幌学院大も大きなアクションを起こした。新札幌駅周辺の再開発地区に参入し、拠点を持つ事にしたという。新札幌駅なら江別ともJRでスムーズに移動できるので、札幌市内の橋頭堡として最適だが、現段階では、詳細は不明だ。ただ、札幌学院大は定員割れの規模が大きく、このままでは将来が無いと決断したと思われるので、かなり多くの機能を新札幌に移すのではなかろうか。移転と言えば、北海道科学大が同じ北海道尚志学園系列の北海道薬科大学を小樽桂岡地区から手稲前田に移転させ、さらに来年度をめどに統合する手を打っている。北海道科学大学は北海道工業大学として馴染みがあったが、保険医療学部を新設する事で女子学生の構成比も上がり、虎の子の薬科大学の統合でさらに男女比がバランスする。しかも、手稲前田はファミレスやら、ドンキホーテやら若者向けの商業施設に事欠かないので、学生獲得に大きくプラスとなる。北海道科学大学が小さな定員割れで踏みとどまっている中、薬科大学統合で反転攻勢をかけるというのは、かなりの妙手だったと感心する。

さて、データをみるとやはり、北海学園と北星学園は安定している。ちなみに稚内北星学園は北星学園が立ち上げには協力したものの経営にはタッチしていない。厳しい経営状態が続けば、稚内市による公立化の可能性も検討されるだろう。さて、北星学園だが元朝日新聞記者の問題でかき乱されたが、悪影響は少なく私大では北海学園に次ぐ人気と言われる。しかし、北星余市高校の閉校騒動など資金面の苦しさが表面化している。また、北星学園大学の隣接地にモルモン教の札幌神殿が建設されてしまった。日本のプロテスタント教会はカソリックのように総本山バチカンを頂くような統一された組織ではないが、モルモン教やエホバの証人、韓国の統一教会などの異端キリスト系宗教には対抗して結束している。そんなプロテスタント系有力大学の北星学園大学の隣接地にやすやすとモルモン神殿を建てられてしまったのだから大失態だ。北星学園も衰えたなと感じる。資金力があれば、全力で隣接地のモルモン神殿建設を阻止したはずだ。

一方、盤石に見えるのは北海学園だ。しかし、その北海学園もロースクール撤退に追い込まれた。法科大学院に関しては、明らかに法務省の制度設計に問題があったので、北海学園の問題では無いが大学経営の方針転換を迫られる事になるだろう。ロースクールを持つ数少ない私学という形でのアピールはできなくなったわけだから。道内私大として北海学園大学は強いが、全国的知名度は極めて低い。むしろ、大学名に「札幌」が入る他大学の方が道外出身者の構成比が高い。道内学生のみを相手にしていれば、さすがにジリ貧になってくるかもしれない。今、北広島では日ハム誘致の為の請願駅が話題になっているが、最近、北海道で最も成功した請願駅は、北海学園による地下鉄東豊線「学園前」駅だろう。東豊線のような深い路線の請願駅なので莫大なコストがかかり、公立大学並みだった北海学園の授業料が一気に跳ね上がった事もあり経営への影響を懸念する声さえあったが、今となっては、学生や教員集めの原動力になっており、北海学園のセカンドブランドである北海商科大学も伸びている。北海学園や北星学園は私学再編の中心になるというが、利便性の高い地下鉄駅周辺に施設を集中させている両大学がわざわざ立地で苦戦する他大学に関心を示すかというと疑問だ。北海学園は北海商科を北見から引き上げたぐらいなのに。ただ、北海学園は面積が狭く、工学部も山鼻にあって少し遠い上、スポーツサークルのグランドを清田に確保するぐらい用地に余裕がない。その為、近くの市内に比較的広大なスペースを持っている札幌大学や札幌国際大学と統合するならメリットがあるかもしれない。そこに北海学園札幌高校や工学部、運動部グランドを移転させ、逆に文系学部を豊平に持っていくと、北海道の大学らしい広々とした環境を手に入れ、道外学生の確保にもプラスになる。そんなわけで、札幌大学は自主路線を確保した生き残りの為には、内輪揉めしている場合では無いと思うのだが。
posted by 瀕死の北海道経済への処方箋ブログ at 18:12| 学校・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月03日

北海道では英語スキルが必須になる。

 中国・インドに次ぐ第三の巨大市場インドネシアからの観光客呼び寄せの為に、道や札幌市は積極的に動いている。まずは、ガルーダ航空がインドネシアからの初のチャーター便を就航させた。12月29日から1月3日までのツアーだ。初回であり、搭乗率は半分程度。次回に繋げる為の実験の意味合いが強い。アジアでの北海道観光ブームは、韓国・台湾などは岩井俊二監督のLove Letter等が女性を中心に人気であり、小樽観光に結びつくムーブメントが1990年代後半から、2000年代初頭にかけて見られた。また、香港も日本文化の浸透度が大きく玉置浩二の安全地帯の認知度が非常に高かった。一方、台湾では、中島みゆき人気が根強い。これらの歌手の人気は観光と直接関係は無いだろうが、元々、日本の文化に関する関心が強い地域だ。そして、これらの西側からの文化流入のゲートウェイたる香港・台湾から、中国本土へ北海道人気が飛び火した。「狙った恋の落とし方」という映画は、北海道の本土での認知度を決定的に高めた。

 さて、2010年代に入って、これらの中華圏における日本観光ブームを東南アジアに広めていこうという発想が官民ともに活発になった。中華系が多く、公用語が英語であるという香港と同様な共通項を持つシンガポールだけでなく、マレー系が多いマレーシアにも上手く浸透しており、南国には珍しい北海道の雪がセールスポイントとなった。また、タイからの北海道観光はマレーシア以上の大ヒットとなっており、隣接のベトナムも同様の潜在市場があると期待されている。だが、東南アジアの真打は世界第四位2億3千万人の人口を誇り、事実上の東南アジアの盟主であり、世界最大のイスラム国家インドネシアだ。インドネシアに対するチャームポイントも北海道の雪なのだろうが、ショッピング、雪、文化的シンパシーの三要素の中で、他の中華圏の国家と違い、文化的シンパシーの訴求が弱い分、難しさもあるだろう。しかも、インドネシアは穏健派といわれていても、厳粛な戒律のあるムスリムが大半なので、食文化の障壁も存在する。しかし、手探りでもインドネシア市場にアクセスしている事は重要だ。

 現在でも、台湾、中国、香港、韓国、シンガポール、タイの観光客は北海道で相当な影響力を持っている。それに、マレー系のインドネシア、マレーシア、インドシナのベトナム、フィリピンが入ってくるとますます、海外観光客の比率が高まる。そして、マレー半島はインド系の比重も無視できないので、インド本国への波及も考えられる。2020年までに政府は年間2000万人の訪日外国人観客を増やすと目標だてているが、今年100万人を達成した北海道は200万人どころか、250万人以上、300万人近くの観光客を招き入れる潜在力はあるだろう。最近、札幌中心部の商業施設は外国人観光客が目立つ、若者は語学学校に通わなくとも、外国人の多い商業施設でバイトするだけで語学力がアップするだろう。中国の観光客は中国語しか理解できない人達が多い為、商業施設も積極的に中国人の従業員等を増やしているが、それ以外の地域の人達は片言の英語で意味が通じる。ただ、よりスムーズにビジネスを進めるにはより体系化された英語力は必要だし、「英語を習っても使うことができないから日本語の英語教育は無駄だね」という言葉に説得力は無くなった。10年前には説得力のあった言葉だが、観光に力を入れなければ活路を見出せない北海道では、英語不要論は完全に過去の言説となった。逆に言えば、語学を若いうちにマスターして、世界でビジネスをやろうする若者にとって、北海道、特に、札幌は外国人とコミュニケーションできる最良のビジネス研鑽の場になったのだ。ある意味、羨ましい話だ。
posted by 瀕死の北海道経済への処方箋ブログ at 15:04| 学校・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月12日

最近、すっかり北星学園大学が有名になってしまったが…

 朝日新聞の慰安婦誤報問題で、注目を浴びている植村元記者のお陰で、非常勤講師をしている先の北星学園大学がすっかり有名になってしまった。何やら札幌にこの記者の家があるそうで、北星学園に就職先を得たようだ。植村元記者は朝日新聞の典型的な左翼活動家記者で、そうでもなければ、これだけジャーナリストとしての資質が疑問視されている人物が再就職できるはずがない。北海道には強力な左翼学者のネットワークがあるが、北星学園もここまで、この人物が日本国民の怒りを一身に集めるとは夢にも思わなかったのであろう。北星学園は軽率の謗りを免れないが、契約問題もあり、植村氏を解雇するわけにもいかないだろう。しかし、北星学園大学は北海道私学のナンバー2であり、学生が多い。つまり、自己中心的な左翼活動家記者の虚栄心によって迷惑を被る学生がたくさんいるわけだ。植村氏が人間としての良心を多少なりとも、持ち合わせているのなら、自ずから職を辞すべきだろう。大学の後期が始まると、より多くの人に迷惑をかける。ただ、少しでも良心を持ち合わせていれば、無神経な記事を最初から書いていなかったのだろうが…これはイデオロギー以前の問題であり、植村氏は人間としての良心が試されている。
posted by 瀕死の北海道経済への処方箋ブログ at 12:34| 学校・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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